レジデントCase Conference
播種性糞線虫症による難治性の髄膜炎と肺炎
谷口 智宏
1
,
遠藤 和郎
1
,
喜舎場 朝和
1
Tomohiro Taniguchi
1
,
Kazuo Endou
1
,
Tomokazu Kisyaba
1
1沖縄県立中部病院内科
pp.990-992
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101071
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Case
患者:52歳,女性,主婦.発病前37kg.
主訴:意識障害,発熱,嘔吐.
既往歴:甲状腺機能亢進症,ぶどう膜炎,二次性糖尿病,HTLV-1陽性.
内服:チアマゾール,プレドニゾロン(5mg隔日).
現病歴:来院20日前より発熱があり,近医を受診し経過観察となったが,うわごとを言うようになり再受診.肺炎と糖尿病性ケトアシドーシスが認められ,ピペラシリン静注とクラリスロマイシン経口,大量補液とインスリン投与により症状改善,歩行可能にまで回復した.5日前より食思不振と悪心・嘔吐があり,胃食道内視鏡を施行したところ十二指腸生検から糞線虫が多数認められ,当院へ紹介.
身体所見:GCS E3 V2 M5,血圧130/62mmHg,脈拍128/分,呼吸数24/分,体温38.4℃,SpO2 98%(酸素2l).項部硬直著明,呼吸音清,心音整・雑音なし,腸管運動音低下,腹部全体に圧痛あり.
検査所見:血算;WBC 5,400/μl,Hb 9.1g/dl,Hct 27.7%,Plt 460,000/μl.生化学;Na 125mEq/l,K 3.1mEq/l,Cl 87mEq/l,BUN 15mg/dl,Cr 0.3mg/dl,血糖218mg/dl,CRP 19mg/dl,HbA1C 8.7%.髄液検査;細胞数7,500/μl(多核90%),蛋白465mg/dl,糖0mg/dl.
髄液グラム染色;多核白血球2+,グラム陰性桿菌1+.喀痰生塗抹標本(図1);糞線虫多数.胃液生塗抹標本(図2);糞線虫少数.胸部X線写真(図3):両肺野にびまん性の浸潤影.
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