- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
持続する頭痛を主訴に来院した50歳女性
患 者:50歳,女性.
主 訴:1週間持続する頭痛.
既往歴:Basedow病(25年前に甲状腺摘出術を受けており,以後問題なし).
生活歴:喫煙10本/日×25年,飲酒なし,アガリクスや市販の総合ビタミン剤を時々服用する.
職業;陶工.月経;2年前から不順.
家族歴:特記なし.
現病歴:もともと頭痛持ちで2週間に1度,頭頂部が締めつけられるような頭痛があるが,安静のみですぐに軽快していた.とくに頭部外傷や交通事故の既往はない.今回,来院の1週間前からなんの誘因もなく徐々に頭痛が出現.性状は後頭部から前頭部にかけて全体的に締めつけられる感じで,とくに後頭部に強く,持続的であった.悪心や嘔吐もあり,日常生活に支障をきたしており,仕事もできず食事もとれていなかった.ただし,睡眠はとれていた.近医を受診し,制吐剤と鎮痛薬を処方されたが軽快しなかった.入院の3日前に当院救急室を受診したが,機能性頭痛で緊急性はないと診断され,NSAIDのみ処方され帰宅となった.しかし,頭痛はさらに悪化し,食事や歩行時に悪心嘔吐も増強した.このため,再度当院内科外来を受診し,頭痛精査のため入院となった.
入院時現症:血圧 104/60 mmHg,心拍数 62/分,呼吸数 16/分,体温 36℃.眼瞼結膜は貧血なし,瞳孔は左右差なく(3 mm同大:対光反射正常),鼓膜は異常なし,口腔内は異常なし,前頸部に手術痕あり,頸部硬直なし,頸部リンパ節腫脹なし,呼吸音は清,心音は整・雑音なし,腹部に異常所見を認めず,四肢に異常所見なし,四肢の末梢動脈の拍動に明らかな上下左右差なし.神経学的所見;深部腱反射に異常を認めない,徒手筋力テストも異常なし,知覚所見も異常なし,脳神経所見も異常を認めない.
入院時検査所見:血算;WBC 5,600/μl,RBC 414万/μl(Hb 10.7 g/dl,Hct 33.5%,MCV 81 fl),Plt 16.4万/μl.生化学検査;Na 138 mEq/l,K 3.7 mEq/l,Cl 108 mEq/l,BUN 8 mg/dl,Cre 0.5 mg/dl,Ca 9.1 mg/dl,t-Bil 0.5 mg/dl,GOT 16 IU/l,GPT 12 IU/l,CPK 166 IU/l,LDH 148 IU/l,Glc 106 mg/dl.
心電図;正常範囲内.胸部単純X線写真;異常なし.頭部単純CT検査;図1.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.