レジデントCase Conference
下腿浮腫と腹部膨満を主訴に来院した52歳女性
篠原 直哉
1
,
小西 竜太
1
,
土井 基嗣
1
,
千代田 啓志
1
,
仲田 操
1
,
仲里 信彦
1
1沖縄県立南部医療センター・こども医療センター総合内科
pp.1004-1008
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100480
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浮腫や腹水は一般的に肝臓・心臓・腎臓などの疾患に合併することが有名であるが,鑑別では病歴や身体所見から原疾患を絞り,基本的検査から精査していくことが望ましい.
普通に日常生活を営んでいる52歳の女性が,亜急性に進行する両側下腿の浮腫を主訴に外来を受診した.研修医は,まず下腿浮腫の原因検索から開始した.病歴にて起坐呼吸や夜間発作性呼吸困難などの呼吸器症状がみられず,診察上でも頸静脈圧の上昇もなく,心音の異常や呼吸音の異常などのうっ血性心不全を明らかに疑う所見もみられなかった.血液検査および尿検査からは腎機能の低下や尿蛋白異常も認めず,腎性の疾患も否定的であると考えた.身体所見上,大量腹水があること,腹壁静脈が目立つことや手掌紅斑の所見に併せて,血液検査にて低アルブミン血症,凝固機能の低下,軽度の高アンモニア血症などがみられたことから,肝疾患に伴う浮腫と腹水と考えた.しかし,いわゆる肝硬変にしては,身体所見ではくも状血管腫がなく,血液検査でも血小板減少といった肝硬変に特徴的な所見が欠けていた.
研修医は,今後の検査治療をこの流れで進めて良いのか,その他の疾患を見逃していないか,上級医へコンサルトした.
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