連載 先生,そのエビデンス教えてください!
第10回
「術後の消毒に手術部位感染の予防効果はあるのでしょうか?」
小沼 賢治
1
1北里大学医学部整形外科学
pp.698-699
発行日 2023年6月19日
Published Date 2023/6/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000001434
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創傷治癒のメカニズムの解明や,消毒液の効果に関するエビデンスの蓄積により,わが国の手術部位感染(surgical site infection:SSI)予防を目的とした創部の管理についてはこの20年間に大きく変化してきました。一般的には整形外科手術は清潔手術であり,創は一次縫合されます。一次縫合創の創傷治癒過程において,術後24~48時間で創はフィブリンなどに覆われ,これらがバリアとして機能し,72時間以内には創面が接着するといわれています。この期間を過ぎれば創からの細菌の侵入はないものとされています。1999年にアメリカ疾病予防局(Center for Disease Control and Prevention:CDC)が公開したSSIに対する勧告では,創が一期的に閉鎖された場合,切開部は通常24~48時間滅菌ドレッシングで覆われることを推奨しています。しかし48時間以降については,切開創をドレッシングしておくべきかどうか,あるいはシャワーや入浴が有害かどうかについては明らかになっていません。また,創外固定のピン刺入部については高率にSSIを発症することが知られていますが,CDCによるSSI予防について推奨事項はありません。今回のテーマは,術後消毒についてですが,これまで報告されたエビデンスについてご紹介したいと思います。
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