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Case
あれ,この頭痛は副鼻腔炎だったの?
患者:30歳台の男性.
家族歴:特記事項なし.
現病歴:患者は大学病院勤務医.大学病院での診療・研究・後輩の指導・外勤など多忙を極めている.2週間前より,とくに誘引なく頭痛が出現.多少鼻閉感があり,数日間は感冒のためかと思い,総合感冒薬を服用していたが改善せず,また疲れも溜まっているのかなと思い,多少帰宅時間を早く(1時間程度)したが,それでも改善しなかった.よく振り返ってみると,頭痛は前頭部に限局しており,常に重い感じで,夕方になるとひどくなるような気がする.コンピュータに向かって長時間仕事をしていて,頭を抱えるようなことがあると余計に頭が重く痛くなる感じもする.
頭痛でこんなこともあるんだねぇ
もう,Caseの題名で読者の皆様にとっては診断がついてしまっているのでおもしろみにかけるかもしれませんが,これは笑い話のような,ほぼ実話です(ここに紹介することを許してくださった先生,いつもこういうことに寛大な先生を私は本当に尊敬しています).
上記のような症状で,私は相談を受けました.「先生,それって,もしかして副鼻腔炎ってことはありませんか? ちょっとおでこのところを打診してみられてはどうですか?」というと,先生はおでこに左手を当てて,右手の指でポンポンと….「あ,あれっ,響くよ,痛みが響く.へ~え,ホントなんだぁ.それじゃあ,耳鼻科に相談してみるわぁ」.後日,再びお会いした時ニコニコ顔で,「いやぁあの後,耳鼻科へ行ってレントゲン写真撮ってもらったんだけど,本当に左右差があったわぁ.おもしろいもんだねぇ」.結局,消炎鎮痛薬と気道潤滑薬を服用して「うん,調子良いよ」ということでした.「いやぁ,頭痛ってこういうこともあるんだねぇ,勉強になった.今度から気をつけるよ」とにこやかに笑う先生….私は,そんなおおらかで,いつも前向きな先生が大好きです….
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