特集 片頭痛だけが頭痛じゃない
【頭痛の部位と性状,随伴症状から考える】
②眼周囲の頭痛―眼周囲の頭痛は原因が多彩―鑑別診断のトレーニング
谷口 純一
1
1熊本大学医学部附属病院総合診療部
キーワード:
鑑別診断
,
病歴聴取
,
緊急性
,
生命予後
,
機能的予後
,
国際頭痛分類
Keyword:
鑑別診断
,
病歴聴取
,
緊急性
,
生命予後
,
機能的予後
,
国際頭痛分類
pp.477-479
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101136
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Case
患者:31歳,女性.
主訴:2週間前からの右こめかみ付近より右目の奥の頭痛.
現病歴:2週間前より,夜中より朝方にかけて右こめかみ付近より右目の奥の頭痛が毎日出現.杭を打たれるような激しい痛みで,じっとしておれずに転げ回る.日中は完全にはとれないが,自制内に軽減する.頭痛発作時は右目に流涙,充血,右鼻の鼻閉を伴う.高校2年生の時と26歳の時,2週間~1カ月ほど続く片側性の頭痛のエピソードあり.
既往歴:10歳発症のバセドウ病にて甲状腺摘出術,術後甲状腺機能低下症にてチラーヂン(R)内服中.
身体診察:とくにはっきりとした異常を認めない.
→Caseの特徴
片側性,一定期間に毎日発作性に出現,激烈な痛みだが動作で増強しない,むしろ興奮・不穏状態,同側の眼・鼻の自律神経系症状を伴う,などの頭痛の部位,経過,性状,随伴症状の特徴を持つ.
部位から診た鑑別診断で何を考えるか
片側性の眼周囲の頭痛として,表1のような鑑別診断が考えられるであろう(J1).解剖学的に眼周囲は眼,鼻,頭蓋底より眼窩の骨・軟部組織およびそこを通過する血管,神経などが存在するために,それらの解剖学的な構造物に由来する器質的疾患を考慮する必要があり,多様な鑑別疾患を考慮することとなる(図1).頭痛のなかでも,とくに幅広い鑑別診断の良いトレーニングとなる症状である.
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