感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[6]
急性腸炎
谷口 智宏
1
,
遠藤 和郎
2
1大阪医療センター免疫感染症科
2沖縄県立中部病院内科・感染症グループ
pp.453-457
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101130
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
患者:16歳の男性,修学旅行中の高校生.
主訴:下痢と腹痛.
【現病歴】来院前日から腹痛,下痢,39℃の発熱と頭痛があり,近医を受診し解熱薬と整腸薬を処方されたが,症状が続くため救急センターを受診した.下痢は1日に7~8回あり.食欲は低下しているが,水分は摂取できる.思い当たる食べ物はなく,周りに同じ症状の人はいない.
【既往歴】特記すべきことなし.
【身体所見】バイタルサイン;血圧100/60mmHg, 脈拍102/分,呼吸数20/分,体温38.8℃.全身状態倦様.頭頸部;口腔内軽度乾燥.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;腸雑音正常,平坦軟,下腹部に軽度の自発痛と圧痛があるが反跳痛なし,筋性防御なし.
【検査所見】血液検査;WBC 10,200/μl, Hb 13g/dl, Hct 39%, Plt 15×104/μl, Na 136mEq/l, K 3.2mEq/l, Cl 98mEq/l, BUN 8mg/dl, Cr 0.6mg/dl, Glu 108mg/dl, CRP 4mg/dl.
【便グラム染色】肉眼所見;黄~茶色の水様性,便潜血強陽性.鏡検で多核白血球(PMN)1+,カモメ型のグラム陰性桿菌1+と貪食像もあり(図1,2).
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.