Editorial
利益相反とバランス
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部医療部
pp.449
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101129
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タミフル®を飲んで2階などから飛び降りた患児が相次いだが,タミフル®の安全性には問題はないといっていた厚生労働省.治験のデータを再度見直してみても同様症状はみつからない.しかし,安全性を検討していた研究班の班長がタミフル®の販売会社から多額の奨学寄附金を受け取っていたことが明るみに出た途端に,判定が変わり,多くの班員が辞任してしまった.
医薬品の審査をしている大学人は多かれ少なかれ開発企業との関係を持っているし,研究費の補助を受けている.李下に冠を正さないことが原則であるが,奨学寄付金と縁がないのはナショナルセンターの医師か開発企業にとって魅力がない研究者ぐらいかもしれない.経済的な理由で自らの信念を曲げているとは思いたくないが,スポンサーの機嫌を損ねたくない気持ちも理解はできる.利益相反の判断は難しいが情報の開示は最低限必要である.
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