患者の論理・医者の論理16
“西洋医学でないものはうさんくさい”という根拠は何に基づくものか?
名郷 直樹
1
Naoki Nagou
1
1社団法人地域医療振興協会地域医療研修センター/横須賀市立うわまち病院臨床研修センター/伊東市立伊東市病院臨床研修センター
pp.716-719
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101009
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民間療法と医者
多くの患者は,民間療法を利用していてもそのことを医者にはいわない.そんな話をした時に,民間療法を肯定的にとらえる医者はほとんどいない.肯定的どころか,不機嫌になったり,あるいは患者に怒ったりすることもある.そんな経験があるから,多くの患者さんはたいていそのことをいわなくなる.
それはなぜか.多くの医者は,民間療法が嫌いだからだ.エビデンスはないが,たぶんそうだ.みのもんたの番組も,あるある大事典も嫌いに違いない.それはどういった根拠に基づくものか,なぜ嫌いなのか.そうした医療をなぜうさんくさいと思うのか.答えは簡単だ.自分が正しいと思うのは簡単だし,自分が間違っていると思うのは難しいからだ.誰も正しくない医療を提供しようとは思っていない.そういう医療を提供する以上,それを正しいと思っている.逆に,そうでない医療を提供しない以上,それを正しくないと思っている.ただ,正しいと思っている,あるいは正しくないと思っている医者の考えが本当に正しいかどうか,正しくないかどうか,そんなことはよくわからない.
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