ミニテクニック
西洋医学と東洋医学,併用のポイント
大平 哲也
1
,
永田 勝太郎
2
1浜松医科大学第2内科
2浜松医科大学保健管理センター
pp.19
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901060
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われわれは,西洋医学と東洋医学を全人的医療という文脈の中で相互主体的に併用している.これは,より合理的かつ高いQOLを保証するためである.
症例:10年以上前より,RSD (reflex sympathetic dystrophy)による左腕の痛みを訴えている男性.某大学病院にて交感神経ブロック,硬膜外ブロックなどの治療を受けていたが軽快しなかった.左腕,手指の筋肉は萎縮し触れるだけで痛み,常に手袋をしていた.左腕の循環が悪く,冷えると痛みが強くなるということを指標に,麻黄附子細辛湯を処方した.2週間で自覚症状が軽快し始め,2ヵ月後にはほとんど消失した.麻黄附子細辛湯は,麻黄,附子,細辛の3つの生薬からなる処方であるが,それぞれに鎮痛作用,循環改善作用などの薬理作用がある.また東洋医学的には,体力が低下している人(虚証)に用いられ,虚証の慢性疼痛であるこの症例には理にかなった処方と考えられた.
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