プライマリー・ケアの実際
酸素療法の適応と実際
宮城 征四郎
1,2
,
安谷屋 茂男
1,2
,
真栄城 優夫
3
1沖縄県立中部病院内科
2沖縄県立中部病院呼吸器科
3沖縄県立中部病院外科
pp.258-261
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207083
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Joseph Priestley(1774)が酸素を発見し,Chausier(1780)が呼吸困難の激しい結核患者に応用して以来,200年が経過したが,酸素は現在でも,急性および慢性の呼吸不全患者の治療および管理に不可欠のガスであることに変わりはない.
酸素は薬剤に優先することが多いが,いずれの患者に,いかなる方法で,どれほどの酸素を供給するかということになると,必ずしも単純ではなく,多くの要素が関わってくる1).たとえ動脈血ガス分圧が上昇しても,酸素含有量はヘモグロビン量,ヘモグロビンの型,その酸素運搬能,および組織における遊離能の影響を受けるし,循環動態や組織の代謝も無視できない.ヘモグロビンの酸素結合能はヘモグロビン,酸素解離曲線に示されるように極めて特異的であり(図1),体温,水素イオン濃度(Bohr's effect)および2,3DPG(2,3-diphosphoglyceraldehyde)2)などの影響を受けるので,一口に酸素療法といっても,極めて多面的な配慮を要求されることとなる.
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