レビューでわかる! いまどき診療エビデンス[18]
アスピリンの長期服用は長生きの秘訣?
後藤 信哉
1
1東海大学医学部内科学系
pp.360-365
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100927
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Q1 心筋梗塞,脳梗塞などを発症した症例が二次予防としてアスピリンを服用することは,どの程度効果的でしょうか?
アスピリンの服用により,心筋梗塞症例の予後が改善されることは,欧州で行われたISIS-2により最初に示されました(図1).心筋梗塞急性期に来院した患者にアスピリンを服用させるだけで,院内死亡率を25%程度低下させられることが示されたこの結果は驚きをもって受け入れられました1).
その後,急性期に限らず,一度心筋梗塞を発症した症例に対してアスピリンを服用させることにより心筋梗塞を含む心血管病の発症が予防できるか否かが,多くのランダム化比較試験により検討されました.各国で施行されたランダム化比較試験の結果はきわめて類似していました.すなわち,アスピリンの服用により心筋梗塞急性期の予後を改善できるのみならず,一度心筋梗塞を発症した症例では,アスピリンの長期服用により心筋梗塞の再発,心血管病による死亡を減少できることが,欧米を中心に各国で施行された試験により確認されたのです.
アスピリンの服用による心血管病発症の相対リスクの減少効果も25%程度といずれの試験でも同様でした.世界中で施行されたランダム化比較試験の結果がメタ解析され,1994年および2002年に各々antiplatelet trialists collaboration, anti-thrombotic trialists collaborationのメタ解析としてBritish Medical Journalに報告されました2, 3).この結果は広く世界中で受け入れられています.
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