くりにかるふぁーまころじー・10
アスピリン
佐久間 昭
1
1東京医科歯科大学
pp.1103
発行日 1981年10月1日
Published Date 1981/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919358
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表徴説はローマ時代のG. プリニウス(23?-79)あたりに始まり,似たものは似たものに効くと説く.マラリアのような“おこり”も柳も湿地を好むというので,白い柳Salix albaは古くから解熱・鎮痛の民間薬として利用されていたらしい.
1763年に高価なキナ皮の代用に柳を推奨したのは,E. ストーンであった.苦味配糖体サリシンが分離され,R. ピリアは1838年にサリチル酸を誘導した.最初にサリシンが得られたのは,果実にラセン模様のある西洋ナツユキソウSpiraea ulmariaからであり,これからサリチル酸を得た人々はスピール酸と呼んでいた.1899年H. ドレッサーは,合成アセチルサリチル酸を得て,非植物性という否定の意味をこめ,アスピリンaspirinの名を与え,バイエルの商品名として広まった.もっともこのaはアセチルの意味であるという説もある.
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