連載 フィールドワーク往復絵手紙・7
生薬は長生きの秘訣?
伊達 潤子
1
1山口大学大学院医学研究科(博士課程)
pp.682-685
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100523
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サナア旧市街の,ちょうど中心あたりにある「塩の市場」近くに,生薬と香を販売する通りがある(写真1)。この通りには,20軒ほどの生薬小売店が並んでいる。各店の前には,木でできた腰掛がおいてあり,来店者はそこに座って店主と話す。
また店の前で,店主が,仕入れた生薬を加工することもある(写真2)。店主は,ふだんは店のなかの一坪ほどの場所に収まって,来客を待つ(写真3)。店には,生薬や香のほかに,石鹸,バラ水,香水,ワセリンなども置いてあることが多い。ある店主によると,もともとは生薬と香だけを売っていたのだが,顧客の要望に応えるために,これらの新しい商品も置くようになったという。「この通りにある生薬店は,人生のすべてを守っている。生まれたときに使うお香,人生の途中で起こる体の不調に対しては生薬を使用したケア,そして亡くなったときに使うお香。それらを扱っている大事な商売なのだ」とその店主は語る。
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