特集 顔の総合診療 顔をみればわかること
【知っておきたい顔面疾患とその対応】
身体醜形障害(body dysmorphic disorder)
石郷岡 純
1
1東京女子医科大学医学部精神医学教室
キーワード:
身体醜形障害
,
美容外科
,
対人関係障害
,
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
,
認知行動療法
Keyword:
身体醜形障害
,
美容外科
,
対人関係障害
,
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
,
認知行動療法
pp.218-219
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100903
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
身体醜形障害とは
身体醜形障害(body dysmorphic disorder:BDD)とは,外見についての想像上の欠陥へのとらわれであり,小さな身体的異常が存在する場合でもその心配が著しく過剰な状態をいう1).また,そのとらわれにより著しい苦痛や社会的機能の障害を引き起こしていなければならない.歴史的には19世紀の終わりから文献上に現れており,精神医学界のみならず,これらの患者が受診することの多い皮膚科,耳鼻科,形成外科(美容外科)などの診療科領域で注目されてきた.
現在のBDDの定義は上記のごとく症状学的に行われているので,その病態に関する議論はまだ一定の見解に至っていないため,診断学上も多くの問題点を抱えている診断カテゴリーである.たとえば,“とらわれ”が非常に強固で訂正不能であれば「妄想性障害,身体型」と診断されることになるが,とらわれが妄想的であるか否かを明確に区別することは困難である.また,しばしば強迫性障害との類似性が指摘され,この障害とのスペクトラム概念で理解しようという試みもあるが,現在の精神疾患の診断法の基本である操作的な手法から導かれるカテゴリー概念との本質的な不整合が生じるため,議論が深まらないという現実が存在する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.