在宅医療技術の進歩17
睡眠時無呼吸低呼吸症候群の在宅ケア
小野 容明
1
1横浜呼吸器クリニック
pp.450-453
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100900
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SAHSとは
睡眠時の異常呼吸には,無呼吸(10秒以上持続する完全な気流の停止)と低呼吸(10秒以上持続する呼吸運動の50%以上の低下でSaO2の低下も伴うもの)がある.また無呼吸は,呼吸努力を伴う閉塞型(obstructive)と伴わない中枢型(central)に大別される.睡眠時無呼吸低呼吸症候群(sleep apnea hypopnea syndrome : SAHS)の診断は,睡眠中にこれらの異常呼吸が平均1時間あたり5回以上認められ,日中の過剰な眠気を呈する場合確定する.SAHSは,睡眠時の無呼吸・低呼吸という視点でとらえた疾患であり,下顎や上気道の形態異常や粘液水腫のような内分泌疾患などが含まれる.SAHSのほとんどが閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea hypopnea syn-drome : OSAHS)であり,70%の症例には肥満の合併がある.
患者の上気道周囲の筋肉は覚醒時に最大の活動をしており,このため上気道は開存しているが,睡眠により上気道周囲の筋肉の活動電位が低下し,吸気時の陰圧によって舌根部や咽頭後壁が引き込まれ,上気道が閉塞するため異常呼吸を生ずる.睡眠中の異常呼吸は,生体にはなはだしい低酸素血症を引き起こす.低酸素血症は化学受容体を介し,生体にいびきとして呼吸を再開させる.この時,脳波上短時間ではあるが覚醒状態を呈する.すなわち,睡眠が分断されるわけである.たとえば無呼吸低呼吸指数20回の患者は,1時間に20回の間欠的な低酸素状態と睡眠の分断があると考えて差し支えない.
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