特集 帰してはいけない外来患者
【Clinical Pearls】
海外帰りの発熱患者は要注意!
徳田 安春
1
1聖ルカ・ライフサイエンス研究所 臨床実践研究推進センター
pp.52-53
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100842
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■海外帰りの60年後に発熱した症例
患者:85歳,男性.元数学者.
主訴:2週間前からの下痢,体重減少,労作時喘鳴.
現病歴:65歳で定年後は,自宅にて読書三昧の生活をしていた.基本的ADLは自立していたが,数カ月前より体力の低下を自覚していた.喘息の既往はない.今回,2週間前より,下痢,体重減少,および労作時喘鳴を主訴に外来受診した.発熱,腹痛などはなし.
身体所見:血圧130/70mmHg,心拍数100/min,呼吸数24/min,体温38.8℃.栄養状態は不良.口腔内乾燥あり.胸部聴診上,wheezeを聴取(Johnsonグレード2).心音にてgallopは聴取せず.腹部はやや膨満しており,腹部前面の皮膚にpalpable purpura(触知可能な紫斑)を認めた.圧痛なし.下肢に浮腫あり(グレード2のfast edema).直腸診にて便潜血陰性.
検査所見:白血球9,700/μl,ヘモグロビン12g/dl,血小板25×104/ml.BUN 25mg/dl,クレアチニン1.2mg/dl,Na 145mEq/l,K 3.9mEq/l,Cl 101mEq/l.来院時の胸部X線上はとくに陰影を認めず.
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