特集 帰してはいけない外来患者
【Clinical Pearls】
入院希望の強い患者は要注意!
高橋 理
1
1聖ルカ・ライフサイエンス研究所 臨床実践研究推進センター
pp.50-51
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100841
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■重大な問題は見当たらないのに入院を希望する高齢女性
患者:82歳,女性.元教師.
主訴:食欲不振,易疲労性.
現病歴:慢性腎不全で外来通院中であった.息子家族と同居し,基本的にADLは自立していた.2週間くらい前から食欲不振,易疲労性を自覚し,症状が継続するため当院の外来を受診した.発熱,腹痛などなし.睡眠障害なし.体重減少なし.DSM-IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th ed)の大うつ病性障害の症状のうち,3項目が認められた.
身体所見:血圧130/74mmHg,心拍数74/mim,呼吸数20/min,体温36.2℃,身長152cm,体重49kg,意識清明,栄養状態は良好.口腔内乾燥なし.眼瞼結膜貧血なし.咽頭発赤なし.頸部リンパ節腫脹なし.胸部聴診上,肺音正常,心尖部で収縮期雑音(II/VI),III音・IV音なし.腹部腸音正常,腫瘤なし,圧痛なし.下肢に浮腫あり(Grade II),直腸診にて便潜血陰性.
検査所見:白血球6,700/μl,ヘモグロビン10.4g/dl,血小板25×104/μl,Alb 3.2 g/dl,ChE 120IU/l,AST 24 IU/l,ALT 32 IU/l,BUN 35mg/dl,クレアチニン2.3mg/dl,Na 142mEq/l,K 5.1mEq/l,Ca 8.5mg/dl,P 3.1mg/dl,CRP 0.1 mg/dl,TSH・F-T4とも正常域.胸部X線上は心拡大(CTR:55%)あり.
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