特集 帰してはいけない外来患者
【Clinical Pearls】
心因性の先入観がブラインドになる!
渡邉 龍太郎
1
1国保藤沢町民病院内科
pp.49
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100840
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大学病院総合診療部のレジデント時代に,内科系の救急車対応当番をしていた時のこと.救急隊から連絡があり,当院精神科に通院歴のある20歳代後半の女性が動悸を訴えて救急要請をしたという.早速精神科カルテを取り寄せて見てみると,「パニック障害」の病名で半年前までの通院歴があった.過去に何度もパニック発作を起こして救急搬送されている.そこで私は患者を見る前に「またパニック発作だろう」と高をくくってしまった.
さて,いざ患者が到着してみると,確かに100回/分以上の頻脈である.しかし話してみると,とてもパニック発作を起こしているとは思えないほど落ち着いている.ここで,少しおかしいなと思った.さらに,息苦しさからかゆるめた襟元には,腫脹した甲状腺が見えた.大学病院であったので,甲状腺機能検査が院内ですぐにできた.TSH低値・freeT4高値の結果が得られ,動悸の原因は甲状腺機能亢進症であるとわかった.
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