特集 クリニカル・リサーチはおもしろい
【プライマリ・ケアにおけるクリニカル・リサーチ】
うがいによるかぜ予防
川村 孝
1
,
里村 一成
2
,
北村 哲久
3
1京都大学保健管理センター
2京都大学大学院医学研究科健康政策・国際保健学教室
3大阪府済生会千里病院
キーワード:
かぜ
,
うがい
,
無作為割り付け
,
打ち切り例
,
Kaplan-Meier法
Keyword:
かぜ
,
うがい
,
無作為割り付け
,
打ち切り例
,
Kaplan-Meier法
pp.124-127
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100817
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なぜ,うがいの研究か
本稿の筆者のうちの2人(川村・里村)は,大学内の診療所で学生や職員を対象に初期診療を行っている.その中で対象疾患として一番多いのが,かぜ(J1)である.調べてみると,抗菌薬やビタミンC以外のかぜ治療法についてはエビデンスが乏しく,多くの医師が経験的・感覚的に対処しているようであった.エビデンスが足りないのであれば自分たちで作ろう,というわけでかぜの研究が始まった.学校医・産業医としては予防がとても大切なので,まずはかぜの予防法として一般的に行われているうがい(J2)に注目した.
うがい研究の進め方
かぜの予防と治療に関する一連の無作為化対照試験(RCT)“The Great Cold Studies”の一環として「NSAIDはかぜの治癒を早めるか遅らせるか」という課題の臨床試験と並立させて研究グループを立ち上げた.メンバーは両者あわせて7~8名である.毎週のように集まって検討を重ねたが,プロトコールが仕上がった時には半年が経過していた.幸い,倫理委員会からはわずかな修正のみで承認が得られた.
実際に研究を実施する共同研究者(Local Administrator : LA)は,個人的なツテのほかにいくつかのメーリングリストを通じて募集した.メンバーに加わったLAたちが,それぞれのフィールドで研究対象となる一般健常者を募集した.
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