特集 消化器病漢方治療―理論と実践
3 .理論:漢方薬作用機序の科学的解明 (3)半夏瀉心湯
上園 保仁
1
,
宮野 加奈子
1
1国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野
キーワード:
漢方薬
,
口内炎
,
半夏瀉心湯
,
うがい
,
二重盲検試験
Keyword:
漢方薬
,
口内炎
,
半夏瀉心湯
,
うがい
,
二重盲検試験
pp.1365-1369
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000528
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半夏瀉心湯は,悪心,嘔吐,食思不振,胃炎,口内炎などの消化管機能の改善に用いられる.とくにがん領域においては,口内炎,下痢に対して高い基礎,臨床レベルのエビデンスを有し,高い頻度で用いられている.半夏瀉心湯は口内炎に対し,構成する七つの生薬がそれぞれの役割をもつオール参加型で,O2ラジカル減少,抗炎症,鎮痛,抗菌,組織修復作用に働いていることが基礎研究で示された.半夏瀉心湯の第Ⅱ相二重盲検試験の結果では,半夏瀉心湯のうがいが口内炎の治癒を早めることがわかってきた.口内炎,下痢をはじめとした消化器症状の改善に半夏瀉心湯がエビデンスに基づいた処方選択をされるためには,今後もそのレベルを高めていく必要がある.
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