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Case
1.発熱と腰痛を訴えた75歳女性
患 者:75歳,女性.
主 訴:発熱および腰痛.
既往歴:特記すべきことなし.
現病歴:入院の2週間前より左腰痛が出現し,38℃の発熱も伴っていた.近医を受診し,結石性腎盂腎炎疑いにて入院となった.しかし,IVP施行されるも尿管結石の所見は得られず,2週間も抗菌薬投与されるも依然として38℃を超える発熱は持続していた.このため当院救急外来を紹介受診となった.診察上,発熱を除いて左の骨盤筋群の圧痛以外所見はみられなかった.婦人科と泌尿器科にコンサルトされるも,明らかな異常は見つからず,精査目的にて入院となった.
2.発熱・心窩部痛・腰痛を訴えた61歳女性
患 者:61歳,女性.
主 訴:発熱,心窩部痛および腰痛.
既往歴:変形性腰椎症,変形性膝関節症.
現病歴:持続する心窩部痛が出現し,制酸剤を2週間投与されるも不変であった.さらに,入院の3日前から非常に強い腰痛と39℃を超える発熱が出現したため,当院救急室を受診.診察上では心窩部に軽い圧痛を認め,背部全体の圧痛があり,体を動かした時にその痛みは増強した.腹部CTが施行されるも異常を認めず,便潜血も陰性であった.明らかな原因が不明のため精査目的にて入院となった.
3.左肩の痛みと発熱を訴えた70歳女性
患 者:70歳,女性.
主 訴:左肩の痛みと発熱.
既往歴:慢性副鼻腔炎.
現病歴:約1カ月前から,左肩から左側頭部にかけて凝るような持続する痛みが出現し,寝具の片付けもままならない状態であった.約1週間前から臍周囲の圧痛と38℃を超える発熱が出現したため,当院救急外来を受診した.診察上,左肩から左側頸部にかけての強い圧痛を認め,体幹部をひねることで臍周囲の疼痛の増強が観察された.腹部超音波検査で異常を認めず,耳鼻咽喉科の診察でも副鼻腔炎の悪化は否定的であった.精査目的にて入院となった.
今回の症例は,持続する発熱とそれに伴って頸部,肩,腹部および骨盤部の疼痛がみられた中高年女性の3症例である.救急室の初療医は,いろいろな感染症を鑑別すべく精査を進めていったが,初期診察レベルでは発熱源は不明であった.
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