特集 健診で異常を指摘された人へのベストガイド
【一般健康診断での異常】
一般健康診断での異常―尿検査・血清クレアチニン
鈴木 民子
1
1財団法人平和協会駒沢病院内科
キーワード:
検尿異常
,
偶発的蛋白尿/血尿
,
クレアチニン値解釈のpitfall
Keyword:
検尿異常
,
偶発的蛋白尿/血尿
,
クレアチニン値解釈のpitfall
pp.306-309
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100579
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
偶発的血尿で発見されたIgA腎症の1例
患 者:19歳,女性.
既往歴:特記すべきことなし.
家族歴:特記すべきことなし.
現病歴:中学時代から時々血尿の指摘をうけるも放置.健診にて潜血反応を指摘され,精査目的で来院.検尿にて潜血陽性(+),沈さで赤血球10~30/HPF.腎機能検査,血液検査,形態学的検査などで異常なしのため単独血尿として経過観察.血尿の増悪はなかったが,半年後の早朝尿で円柱の出現と尿蛋白0.5 g/日前後が継続して認められるようになったため,腎生検を施行,IgA腎症と診断す.予後比較的良好群のため,日常生活の制限なく外来で経過観察中である.
地域,職場,学校で実施されるほとんどの健診において検尿は必須の検査で,試験紙法により蛋白尿,血尿,糖尿の検査が行われている.一方,腎機能の評価に有用な検査である血清クレアチニン値測定も同様に施行される.一般に,これらの検査異常で示唆される糖尿病や腎・泌尿器疾患は,急性などの特殊な場合を除けば自覚症状に乏しく,早期に発見することが困難なことも多い.したがって,健診異常をいかにとらえ,管理し,対策をたてるかは,疾患の進行や予防を考えるうえできわめて重要と思われる.
本稿では,健診時の検尿と血清クレアチニン値異常の評価や留意点,経過観察や精密検査の必要性などの点を中心にアプローチのしかたについて述べる.なお尿糖については,糖尿病との相関やその病的意味も少ないため省略する.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.