特集 ズバッと答える臨床知識 学生・患者に説明できますか?
身体所見・検査の疑問
血圧の正しい測り方は?
古谷 伸之
1
1東京慈恵会医科大学内科総合診療部・医学教育研究室
キーワード:
血圧測定
,
コロトコフ音
,
聴診間隙
,
触診法
,
日内変動
Keyword:
血圧測定
,
コロトコフ音
,
聴診間隙
,
触診法
,
日内変動
pp.882-884
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100446
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目的によって違う測り方
血圧はバイタルサインの1つとして分類されることが多く,バイタルサインだから測らなければならないと考える医師も少なくない.しかし,ショックや高血圧緊急症ではないことを把握するためのバイタルサインという考え方はあくまでも救急医療の中での解釈であり,日常診療の多くの場面での血圧測定の目的は動脈硬化の危険因子としての評価である.したがって,動脈硬化危険因子としての基準である140/90mmHgを高血圧緊急症の基準と混同し,160mmHg程度の収縮期血圧においてさえ緊急降圧の対象とする事態が起こるのである.
動脈硬化の危険因子を判定する場合は2mmHg単位の正確な血圧測定が要求されるが,救急におけるそれは緊急症を疑わせる拡張期血圧130mmHgや収縮期血圧220mmHg,またショックの基準の1つである収縮期血圧60mmHgなどに到達していないことを確認しうる程度の精度で十分である.
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