特集 診療所での上手な抗菌薬の使い方
【診療所における抗菌薬治療】
①呼吸器感染症(上気道)―急性上気道炎,急性副鼻腔炎,溶連菌感染症,急性扁桃炎
福士 元春
1
1(社)地域医療振興協会 地域医療研究所 地域医療研修センター・横須賀市立うわまち病院
キーワード:
急性副鼻腔炎
,
溶連菌感染症
,
耐性菌
,
抗菌薬の適正使用
Keyword:
急性副鼻腔炎
,
溶連菌感染症
,
耐性菌
,
抗菌薬の適正使用
pp.626-629
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100391
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Question & Answer
Q:上気道感染症に対して抗菌薬を処方する場合,どのような注意が必要か?
A:急性上気道炎(J1)には抗菌薬を処方してはならない.急性細菌性副鼻腔炎・溶連菌感染症などの細菌感染が示唆される場合のみに抗菌薬治療を行う.抗菌薬を使用する場合は適正使用するように指示する.
「とりあえず抗菌薬」の効果と害
指導医 「それでどんな薬を処方するの?」
研修医(患者) 「抗菌薬だけあればいいです」
指導医 「どうして抗菌薬? 診断は?」
研修医 「かぜだと思います.こじらせたくないので抗菌薬が必要だと思います」
指導医 「かぜの原因は何?」
研修医 「細菌感染の徴候がないので,何らかのウイルス感染の可能性が高いと思います.部屋が少し寒かったのと,疲れて寝不足だったのも原因かもしれません」
指導医 「研修は大変だもんね.寝不足だったか.ウイルスでも抗菌薬は有効なの?」
研修医 「細菌感染の予防にもなるし,重症化しにくくなるのではないのですか?」
指導医 「抗菌薬は細菌感染の予防になると考えてるんだね.抗菌薬で痛みはとれないと思うけど,対症療法はいらないの?」
研修医 「とりあえず抗菌薬だけあればいいです」
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