Editorial
市民のメンタルヘルスと精神医療
渡辺 洋一郎
1
1渡辺クリニック
pp.437
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100352
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毎年3万人を超える自殺者の問題.ひきこもり,不登校,リストカットに代表される若者にみられる衝動行為やさまざまな情緒的な問題.また,精神障害と犯罪の問題.過重労働,あるいはリストラ,失業などに伴う労働者のメンタルヘルス問題.認知症など高齢者の精神医学的問題.虐待やドメスティック・バイオレンス.薬物乱用や依存.インターネットなどバーチャルな世界における異常心理.性的な諸問題,夫婦関係,対人関係などにおける一般的心理問題などさまざまな分野において,精神医学・精神医療に関係したことがらが,個人の問題のみならず社会問題にもなっています.
1998年から自殺者数は急増し3万人を超え,厚労省は2000年に「健康日本21」において,2010年までに自殺者数を22,000人まで減らすことを目標としました.ところが,自殺者数はまったく減少していません.自殺対策としては,その背景にあるうつ病をはじめとする精神障害の早期発見と治療の促進,未受診者に対する啓発活動,専門的治療に関する啓発や情報提供,診療環境や診療費などの治療環境の整備などとならんで,一般臨床と精神科専門医との連携とネットワーク作りが重要なポイントになります.
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