JIM Lecture
歯・口腔外傷の応急処置と治療
宮新 美智世
1
1東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科口腔機能再構築学系口腔機能発育学講座 小児歯科学分野
pp.322-324
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100276
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歯や口腔の外傷は,転倒や転落,あるいは何かに衝突した際に生じ,とくに小児に多くみられる.飲食しにくく,顔貌への影響が大きいので早く治したいが,生命には関わらないので,脳・目などの緊急度の高い損傷がないかをまず確かめる.口腔で危険なのは,ぐらついた歯などを吸い込むことであり,血液も飲むと嘔吐の誘因になるため,口の外へ出すよう指示しておく.軽い外傷に見えても小児では食事ができなくなる危険性もある.
また,外傷によって,歯が折れたり,ぐらついて位置がずれて,周囲の骨が挫滅すると,歯が抜け落ちるだけでなく,歯髄(内部の血管や神経組織)や乳歯外傷の場合は永久歯にも影響することがある.受診すべき目安は,痛む歯や,歯肉との境目から出血する歯,ずれた歯,折れた歯(図1),深さのある唇の傷である.常日頃から,歯科や口腔外科との連絡体制を作っておくと,円滑な対応が可能である.観血処置が多いので,患者の日頃の健康状態やアレルギー,服用中の薬剤などを歯科医にもお知らせいただきたい.
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