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Case
患者:45歳,女性.
現病歴:2週間前より倦怠感と熱感を自覚するようになった.10日前より両側大腿部および両側手背,前腕中央から末梢にかけて点在する紅斑が出現した.7日前に38℃台の熱を記録し,食欲も低下したため近医を受診した.尿路感染症を疑いセフトリアキソン(ロセフィン(R))の点滴静注とレボフロキサシン(クラビット(R))を処方されたが,解熱せず,食欲低下の改善もみられず,皮疹も持続した.当院内科に紹介され,精査加療目的に入院した.
既往歴:18歳で腎盂腎炎,遊走腎,29歳で甲状腺腺腫摘出術.
生活歴:たばこ(-),ビール350 ml/日,弁当工場勤務(立ち仕事).夫,子ども2人と4人暮らし.Sexual partnerは夫のみ.輸血歴(-).最近の歯の治療歴,海外渡航歴,温泉入浴・生もの摂取歴はなく,ペットにかまれたことはない.Sick contactなし.服薬歴なし.薬物アレルギーなし.
家族歴:父が高血圧症.
Review of system:体重変化なし.夜間発汗・頭痛・鼻水・鼻閉感・咳・痰・呼吸困難感・口内炎・日光過敏・顔面の紅斑・レイノー症状・目と口の乾燥症状・関節痛または腫脹・胸膜痛・動悸・腹痛・下痢・振戦・生理不順すべてなし.2カ月前より軽度の両側下腿浮腫あり.頻尿,排尿時痛,排尿困難などの尿路系症状なし.漢方薬,健康食品,処方箋外の薬の服薬なし.
身体所見:憔悴した様子.身長160 cm,体重50 kg,体温38.5℃,血圧94/80 mmHg,脈拍70回/分・整,呼吸数18回/分.皮膚,眼球結膜の黄染なし.両側手背のPIP,DIP関節部に発赤あり,前胸部に2×1 cmのやや膨隆した紅斑1個,両側鼠径部に点状の紅斑を多数認める.大腿部,前腕の紅斑は消退傾向.顔面には発疹なし.眼瞼結膜に貧血を認めず,口唇・口腔頬粘膜に異常はない.両側後頸部にソラマメ大,弾性軟で,可動性のある圧痛を伴わない表在リンパ節を1,2個触知する.前頸部に甲状腺術瘢痕あり.呼吸音清,心雑音なし.腹部は平坦軟,腸音正常で,圧痛なし.肝を鎖骨中線上で1横指触知する.脾腫なし.腋窩リンパ節および鼠径リンパ節は触知しない.背部の肋骨脊柱関節角に叩打痛はない.四肢では関節に腫張,発赤,圧痛を認めず,両側下腿前頸部に軽度の浮腫がある.上下肢ともに筋肉の把握痛はない.項部硬直なし.神経学的な異常はない.
入院時検査所見:末梢血;WBC 11,630/μl(Neu 91%),Hb 12.4 g/dl,Plt 12.5万/μl,腎機能,電解質正常,Alb 3.3 mg/dl,AST 114 IU/l,ALT 88 IU/l,LDH 892 IU/l,γGTP 162 IU/l,ALP 454 IU/l,T-bil 0.4 mg/dl,CPK 54 IU/l,CRP 5.5 mg/dl,TSH正常,HAV(-),HBV(-),HCV(-),ANA×80,RA(-).尿検査;蛋白(2+),潜血(-),糖(-),WBC 5~9/hpf,細菌(+/-).胸部単純X線写真;正常.
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