特集 結核を見逃すな!
肺結核の治療―最新のガイドライン
尾形 英雄
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1結核予防会複十字病院・呼吸器内科
キーワード:
結核医療の基準
,
dormant
,
first line drugs
,
DOT
Keyword:
結核医療の基準
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dormant
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first line drugs
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DOT
pp.386-389
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100095
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今から60年前,1944年に最初の抗結核薬ストレプトマイシン(SM)が登場するまでは,結核は前途豊かな若者の命を次々と奪う恐怖の病であった.結核死亡は戦死者数を優に上回る人類最大の敵とされた感染症であったので,その後も世界中で抗結核薬の開発・治療法の研究が進められた.次の転機は1966年,リファンピシン(RFP)の登場だった.結核外科療法の歴史に終止符を打ったこのエポックメイキングな薬剤は,結核を薬さえ飲めば治る予後良好な病気に変えたのである.
しかし,1990年代の米国でみられた「結核の逆襲」1)は,結核をすでに解決済みの問題としてその対策の手抜きをすれば,必ず仕返しされる油断のならない疾患だと改めて教えてくれる事件であった.1999年の結核緊急事態宣言以後,5年連続して本邦の結核罹患率は減少し,日本は結核中蔓延国から低蔓延国への歩みを早めている.しかし結核対策の根幹である「診断と治療」に抜かりがあれば,日本でも早晩「結核の逆襲」を経験することになろう.1952年から,その時代の最新の治療を患者に提供する目的で「結核医療の基準」が明示され,その後も改定を重ねてこれまで日本の結核診療のガイドラインの役割を果たしてきた.2004年に新改定2)があったので,これを中心に現在の結核治療を紹介する.
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