特集 結核を見逃すな!
胸部X線で結核感染を疑うコツ
滝口 恭男
1
,
山口 哲生
2
1千葉市立青葉病院内科・呼吸器科
2JR東京総合病院呼吸器内科
キーワード:
肺結核
,
空洞形成
,
satellite lesion
,
tree-in-bud appearance
Keyword:
肺結核
,
空洞形成
,
satellite lesion
,
tree-in-bud appearance
pp.378-381
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100093
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結核の基礎知識
胸部X線所見の理解のためには,結核の進展様式の理解が必要である.二次型肺結核症では,瘢痕化した初感染病巣内に残存していた結核菌が宿主の状態に応じて増殖し,気管支を介して散布されて新たな病変を形成する.時に菌が血中に入り,血行性散布病巣も形成されうる.気道散布性病変は,S1,S2,S1+2,S6に好発する.
病巣は,滲出性反応・増殖性反応・硬化性反応と進んでいく.二次結核症でみられる気道散布病巣の初期像は呼吸細気管支レベルの滲出性変化であり,異物に対する反応として限局性の滲出性反応が起こる.その後,細胞性免疫の働きで感染巣は壊死に陥る(乾酪化).さらに乾酪巣の周囲に肉芽腫が形成され,次第に弾性線維・膠原線維が肉芽腫を取り囲むようになる.このように滲出性反応に引き続く修復反応を増殖性反応という.最終的には乾酪巣は被包化され,線維成分は水分を失って硬い瘢痕組織となり治癒する.これを硬化性反応という.
ただし,病巣が広範囲になると被包化は不完全になり,乾酪巣が液状化して気管支と交通すると空洞を形成しうる.そして空洞や大きな病巣が主要な排菌源となり,経気道的に散布されて肺全体に広がっていく.しかし,さまざまな原因で免疫不全状態にある状況では,上記のような生体反応が起きずに非定型的な経過を示す.
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