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Case
患者:21歳,女性,大学生.
主訴:食後の吐気.
既往歴:摂食障害のため,二度の入院歴を認める(高校受験終了後の15歳時と19歳時).手術歴はない.
入院までの経過:関西にて生育.13歳時,両親の離婚を機に母親の故郷である九州に転居.その後,次第に食事量が減り,体重減少が始まった.学業成績は常にトップクラス.自ら車を運転して大学に通学していたが,食後の吐気を心配した親戚が本人を説得し,救急外来を受診.学業の遅れを理由に入院を拒むが,下肢の筋力の衰えを自覚し,初診の1カ月後に入院を応諾.甲状腺剤,下剤,利尿剤などの薬物乱用のエピソードはない.
入院時現症:身長155.2 cm,体重22.7 kg(標準体重52.9 kg),BMI 9.4,肥満度マイナス57%,脈拍数48/分,血圧76/58 mmHg,体温35.0℃,呼吸数18/分,著明なるいそうが目立つ.意識清明,表情は乏しく,ゆっくり淡々と話す.うぶ毛が目立ち,恥毛,腋毛は保たれていた.乳房の萎縮は認めない.上腹部のみ軽度膨満気味で,鼓音の亢進を認めたが,腹部全体は陥凹し,肝脾は触知されなかった.ラッセル徴候(手背の吐きだこ)はなく,便秘と無月経を認めた.
血液検査所見(初診時):血算;WBC 1,800/μl(Stab 5.0%,Seg 49.0%,Lym 40.0%,Mono 5.0%,Baso 1.0%),Hb 9.1 g/dl,Hct 28.1%,Plt 96,000/μl.生化学;Na 137 mEq/l,K 4.1 mEq/l,Cl 104 mEq/l,BUN 12 mg/dl,Cr 0.5 mg/dl,Glc 56 mg/dl.
一般検尿所見:比重1.005,pH 8.0,Glc(-),Pro(-),OB(-),アセトン(-).
胸部X線写真:肺野の異常陰影(-),心拡大(-),CTR 44%.
心電図検査:心拍数48/分,洞性で整.低振幅QRS, PQ 0.10sec,QTc 0.43 sec.
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