EBM時代の生薬・方剤の使い方[13][生薬]
人参と生体防御―ラジカル惹起モデルにおける薬用人参サポニンRdの役割
横澤 隆子
1
1富山医科薬科大学和漢薬研究所
pp.74-77
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100041
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近年,医学生物学分野において活性酸素に関する研究が広範に進められ,老化,発癌,炎症,虚血,動脈硬化および自己免疫疾患などときわめて関係の深いことが明らかにされつつあり,活性酸素を含め,フリーラジカルの生体内での異常な発生を予防する薬物の開発が望まれている.
腎疾患においても,1984年にPallerらがスーパーオキシドジスムターゼ(SOD),ジメチルチオウレア(DMTU),アロプリノールなどの抗酸化剤を投与して,虚血性腎障害が予防できたと報告して以来,活性酸素の関与について検討されてきた.活性酸素はメサンギウム細胞,血管内皮細胞,上皮細胞,好中球,貪食細胞などで発生し,糸球体,尿細管障害を惹起するのみならず,血管収縮性物質として腎血行動態へも影響を及ぼす.さらに,腎動脈に直接過酸化水素を注入すると,Kfが低下することも報告されている.腎内にはこれら活性酸素を除去する酵素が存在しているが,腎障害はこの両者のバランスが崩れた結果起こると考えられており,最近では活性酸素の消去系の破綻が注目されている.
筆者らはこれまで,フリーラジカル消去作用を有する抗酸化物を和漢薬,漢方方剤を対象に検討し,薬用人参サポニンRdに抗酸化活性を有する知見を得た.本稿では,これまで得られた知見の中で,ラジカル惹起モデルを用いた成績について列記し,ジンセノサイド-Rd(以下,Rd)の役割を評価したい.
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