増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅴ.術前・術後1週間の患者管理
膀胱尿管逆流症防止術
近田 龍一郎
1
,
坂井 清英
1
Ryuichiro Konda
1
,
Kiyohide Sakai
1
1東北大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野
pp.310-316
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904624
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1 はじめに
超音波検査で水腎として発見され,その後の精査で膀胱尿管逆流症(vesicoureteral reflux,以下VUR)と判明する症例が著増してきているが,VURの発見の動機としては尿路感染が最も多いのは以前から大きな変化はない。RN Forum Japanによる1歳未満VUR症例の検討では,VUR発見の契機は85%が有熱性尿路感染症で6%が胎児超音波検査により水腎を呈した症例であった。1〜15歳では有熱性尿路感染が68.7%とやはり多いが,次に多いのが切迫尿失禁や夜尿などの排尿異常であり,他には下部尿路感染症(膀胱炎),学校検尿などでの異常となり,乳児期の症例とは異なった様相を呈する。
VURは排尿時膀胱尿道造影(voiding cystourethrography:VCUG)にて診断されるが,合併する他の疾患(後部尿道弁,前部尿道憩室,神経因性膀胱など)の鑑別のためにも排尿時の撮影は必須である(図1)。VURの程度はgrade 1から5に分類(国際分類)される。VURのgradeは加齢とともに改善する傾向が強く,1歳未満ではgrade 4以上のVURが約70%であるのに対して,1〜15歳ではgrade 3以下が73%を占める。
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