増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅴ.術前・術後1週間の患者管理
尿道下裂に対する尿道形成術
島田 憲次
1
,
松本 富美
1
,
原田 泰規
1
,
内藤 泰行
1
Kenji Shimada
1
,
Fumi Matsumoto
1
,
Yasunori Harada
1
,
Yasuyuki Naito
1
1大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
pp.317-322
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904625
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1 はじめに
尿道下裂は外尿道口が本来の亀頭部先端ではなく,それより近位の陰茎あるいは陰嚢,会陰部に開口する先天性尿道形成不全である。尿道下裂に対する手術法ほどこの20年間に変遷を遂げたものはなく,最近では一期的尿道形成術が一般的に加えられるようになった。20年以上も前に尿道下裂患者の受け持ちをしていた頃には,術後の出血や陰茎の腫脹,そして瘻孔や狭窄などの合併症に泣かされたものであるが,最近では受け持ちとなる若手の医師にその頃の話をしても全く実感が沸かないようで,術後に輸血をしたことがあるなどと言っても信じてもらえない時代になった。
尿道下裂はいまだに小児泌尿器科の中でも最も経験と技術を必要とする手術であり,その成功,不成功のほとんどは手術そのものにかかっていると言わざるを得ないが,同時に周術期の管理も成功を支える要素の一つであることに変わりはない。ここでは尿道下裂患者の病棟管理指針を紹介するが,これを読まれる読者は本疾患に対する手術法が各施設でそれぞれ違いがあり,また術前・術後の管理にも大きな差があることをまず知っておいていただきたい。
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