画像診断
腎筋膜下気腫をきたした外傷性十二指腸穿孔
田代 和也
1
,
波多野 孝史
1
,
古田 昭
1
1神奈川県立厚木病院泌尿器科
pp.72-73
発行日 1998年1月20日
Published Date 1998/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904453
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患者 72歳,男性。
主訴 上腹痛,嘔吐。
既往歴 前立腺肥大症で内服治療中。
現病歴 1997年4月15日,シートベルトなしで車を運動中にトラックと衝突し,近医を受診。腹部単純X線撮影,超音波診断にて出血,異常ガス像なく,腹部擦過傷の処置のみで帰宅。4月16日早朝より腹痛,嘔吐が出現したため,当院を救急受診した。
現症 腹部の軽度膨隆を認め,圧痛が著明であった。
血圧は最高血圧70mmHgとショック状態を示した。
検査成績 GOT1031U/l,GPT531U/l,アミラーゼ3,222IU/l,C反応性蛋白22mg/dl,BUN45mg/dl,クレァチニン2.78mg/mlと肝膵腎系検査の異常を認めた。しかし,尿沈渣で血尿はみられなかった。臨床経過 腹部単純X線撮影で,軽度の小腸の拡張像とともに右腎に一致した泡状のガス像が認められた(図1)。CTスキャンでは腎上極を中心に腎周囲から腸腰筋にかけてガスが認められたが,膵,胆道の破壊像はみられなかった。腎周囲の気腫は脂肪を押しのけて腎筋膜下に貯留していた(図2)。
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