交見室
教員の任期制
勝岡 洋治
1
1大阪医科大学泌尿器科
pp.1099
発行日 2002年11月20日
Published Date 2002/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903665
- 有料閲覧
- 文献概要
大学審議会は大学における教育研究の活性化を一層図る観点から,大学教員の流動性を高めるための方策の一環として教員の任期制について答申案をまとめている。平成9年には大学の教員等に関する法律が施行され,国公立大学のみならず私立大学も急速に任期制導入を決めているが,多くの問題点が提起されている。任期内で成果の出やすい研究が中心になる懸念,評価の面で恣意的運用の危険,一部の好条件の大学に人材が集中し大学格差が生じる,リストラや雇用調整制度に利用されかねないなどである。さらに,任期制導入に際しては,業績評価基準の確立,研究費の増加,給与面の優遇,再任を含めた運用規定の整備,再任されない場合の生活保障など条件整備が必要である。
有為な人材の登用と魅力的な大学再生への手段として任期制導入を考えるべきであり,基本的には教員の流動化は望ましい。特に,若手研究者の育成に貢献できる制度であり,何よりも教員一人一人の自覚を促す効果が期待される。しかし,任期制の当面の適用範囲は研究課題や技術が短時間に変化し,その業績評価が比較的容易であるプロジェクト型の新規戦略性の高い分野に限定すべきである。国立大学では独立行政法人化の条件の一つとして実行が要求されていると聞くが,大学院教員に任期制度を適用して研究分野を強化して成果をあげている。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.