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はじめに
東京女子医科大学看護学部(以下,本学)は,2008年4月に教員免許更新制に伴う免許状更新講習の試行として,文部科学省が募集した「教員免許状更新講習プログラム開発委託事業」に応募し,その申請が採用されました。
免許状更新講習は,2009年4月より導入される教員免許更新制に伴うもので,今年の試行はその円滑な実施に向けて,免許状更新講習のモデル的なプログラム開発や試行を実施し,想定される諸課題などについての解決方法などの成果を,免許状更新講習の開設に向けて取り組む全国の大学などに普及させようとの趣旨による事業です。
教員免許更新制は,2007年6月27日に「教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律」の公布により導入されたもので,最新の知識技能を身につけ,教員が自信と誇りを持って教育にあたり,社会の尊敬と信頼を得ることを目指したものです。この法により,2009年4月1日以降の免許状取得者には10年間の有効期限がついた免許状が交付され,この有効期限延長には,2年間で30時間(必修領域:教育の最新事情に関する事項12時間,選択領域:教科指導,生徒指導その他教育内容の充実に関する事項18時間)の更新講習の受講が必要となります。この更新制の基本的な枠組みは,2009年3月31日以前の免許状取得者(免許状には有効期限は明記されていない)にも適用されます。
また,この制度の対象者は,現職教員,指導主事,社会教育主事,教員採用内定者などで受講対象者であることを証明された免許状を有する者に限られ,免許状のみを有する者(いわゆるペーパーティーチャー)には適用されません。
今回,委託事業として採択され,また予備講習としての指定を受けた講習は,選択領域の教科指導,生徒指導その他教育内容の充実に関する事項に該当するもので,「健康問題を抱える児童生徒へのアプローチ」をメインテーマとして,「思春期のからだと心の健康支援」「現代の子どものからだの気になる症状と予防のための研究」「自己決定と自己解決を支援するヘルスコーチング」「慢性疾患を持つ子どもの理解と日常生活の援助」の4講座で,あらゆる健康レベルにある児童生徒などの援助や特別支援教育にも積極的に対応することが求められている教諭,養護教諭を主なる受講対象者としたものです。
6月に講習の募集を開始したところ,数日で各地から受講定員をはるかに上回る希望者があり,多くの教諭,養護教諭の方々の関心をいただいていることにやや驚きの感を抱きながら8月の初めに講習を実施しました。
看護職専門者を育てることを目的としている本学が,なぜこの教員免許状更新講習開設に参画したのかは,東京女子医科大学の発展,大学の社会貢献を求める声の高まり,養護教諭の新たな役割と看護職の資格を持ち健康教育のできる人材への期待のなかで,2007年に教職課程(養護教諭一種免許状取得課程)をスタートしたことと密接に関連しています。
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