増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅳ.術後合併症とその管理
8.そのほか
真菌感染症
宮崎 淳
1
,
河合 弘二
Jun Miyazaki
1
1筑波大学大学院医学研究科
pp.328-330
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903249
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1 はじめに
真菌症は,多くの場合,重篤な免疫不全や重度の基礎疾患を有する患者にみられ,通常その診断や治療は容易でなく,その予後も概して不良と考えられる。外科領域においては,高カロリー輸液のために中心静脈カテーテルを長期に留置する症例や,広域スペクトラム抗菌薬の長期投与,骨髄障害を伴う抗癌剤の使用,高齢者の癌患者に対して行う侵襲の大きい外科手術の施行などによるcompromised hostが増加し,それに伴って深在性真菌症,特に周術期における真菌感染症が重要な問題となっている1)。また,上部消化管術後,急性膵炎術後,肝移植,熱傷の際には真菌感染症が高頻度に認められる2)。
血液や腎臓へのfungal translocationから全身性真菌症に発展すると,その予後はきわめて不良となるため,早期に的確な診断を行って治療を迅速に開始する必要がある。
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