増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅳ.術後合併症とその管理
8.そのほか
術後敗血症
久保田 洋子
1
Yoko Kubota
1
1山形大学医学部泌尿器科
pp.331-333
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903250
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1 はじめに
1991年にAmerican College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine Consensus Conferenceにおいて,敗血症は次のように定義された。「感染に対する全身性反応,細菌感染を示唆する臨床所見を有し,(1)体温>38℃ないし<36℃,(2)頻脈(>90/分),(3)過呼吸(>20/分)ないしPaCO2<32 mmHg,(4)白血球数>12,000/μl,<4,000/μlないし桿状核好中球>10%のうち,2つ以上の全身症状を呈する病態を指す」。また,Glauserら1)は上記の所見に血清乳酸値の上昇,乏尿を加え,これらの症状に低血圧を伴う病態を敗血症性ショックと定義した。敗血症性ショックは,古くはグラム陰性菌の感染によって起こると考えられたが,グラム陽性菌や真菌によっても発症することがわかっている。
抗生剤の進歩にもかかわらず現在もなお敗血症は生命を脅かす病態である。ショックを伴わない敗血症の死亡率は13%,敗血症のあとショック状態に陥った者の死亡率は43%に及ぶとされる。
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