特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅱ.感染症の薬物療法
5.真菌感染症
宮治 誠
1
1千葉大学真核微生物研究センター感染研究部門
pp.59-61
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900938
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現在の医療の進歩は患者の生命を永らえたばかりでなく,不治といわれていた病気をも克服し,社会復帰さえも可能としている.しかしながら,このような人々の感染に対する抵抗性は減弱しており(減抵抗性宿主,易感染性宿主compromisedhost),今まで病原性がない,あるいは非常に弱いと考えられていた微生物による感染(日和見感染opportunistic infection)が増加し,その原因菌群の1つとして真菌が問題となってきている.
現在,真菌感染症fungal infection(真菌症mycosis)のうち最も対策が急がれているのが,この日和見真菌感染症opportunisticfungal infectionで,その原因菌としては,Candida属,特にC. albicansが最も頻度が高く,以下,Aspergillusfumigatus,Cryptococcus neoformansあるいは接合菌(Absidia属,Mucor属,Rhizopus属)と続いていく.これら日和見真菌感染は,多くの場合,急性に経過し,全身感染へと進行していくため,その早期診断と治療が強く求められている.今回はこれら全身性(深在性)真菌症の治療について述べ,白癬症などの皮膚(浅在性)真菌症については省く.
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