増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
B.腹腔鏡下手術
後腹膜腔鏡下副腎摘除術
荒川 孝
1
,
馬場 志郎
1
Takashi Arakawa
1
1北里大学医学部泌尿器科
pp.72-75
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903188
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1 はじめに
後腹膜腔は,壁側腹膜の後方で横隔膜,大腰筋や腹壁筋層で囲まれた部位であり,副腎,尿路の周囲に脂肪組織が充満している。腹腔と異なり,そのままでは送気により内視鏡の視野が確保されることはない。したがって,後腹膜腔に内視鏡を挿入して観察するためには人工的に操作腔を剥離により作製する必要がある。また,腹膜腔と比較して内面が被膜化されていないことや,横隔膜脚部を介して胸腔とも連絡しているために炭酸ガスの体内吸収が起こりやすいといえる。後腹膜腔鏡下手術にはポートが必要であるが,人工的に作製された狭い後腹膜腔への刺入には,合併症を回避するためにそれなりの注意が必要である。一般的には,後腹膜鏡下副腎摘除術では気腹にみられるような肩への放散痛もなく腹腔内臓器の損傷を起こしにくいが,稀ではあるが合併症が発症した場合にはより重篤なことがあることに注意すべきである。
本稿では,後腹膜腔鏡下副腎摘除術での合併症とその管理について述べる。
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