小さな工夫
環状切除後の瘢痕に伴う勃起時疼痛に対する術中組織伸展法の応用
相原 正記
1
1聖マリアンナ医科大学形成外科
pp.258-259
発行日 2000年3月20日
Published Date 2000/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902875
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わが国においても,組織伸展器を用いた軟部組織再建法は,形成外科分野で不可欠な手法となった。組織伸展器(expander)の有用性について疑問の余地はないが,その使用に際しては,皮膚伸展に要する期間と伸展に伴う患者の肉体的・精神的負担,あるいは露出などの合併症が問題となる。これら合併症への危惧から,Sasaki1)は術中組織伸展法の有用性を報告している。この方法の概念は,皮膚軟部組織欠損の修復を目的として,皮下に埋入した組織伸展器に間欠的,持続的に生理食塩水を注入し,1時間程度の手術中に隣接領域の皮膚軟部組織を伸展させる方法である2)。前述したように,われわれ形成外科医には日常の手技となっているが,泌尿器科領域では,まだあまり知られていないようである。
本稿では,環状切除術後の合併症としての包皮の過剰切除と術後血腫によると思われる皮膚短縮,および皮下瘢痕拘縮により勃起時の疼痛を主訴に来院した例を示し,本法を報告する。
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