小さな工夫
吻合ガイド付き金属ブジーを用いた尿道膀胱吻合法
池本 庸
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科
pp.918
発行日 1999年10月20日
Published Date 1999/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902776
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前立腺全摘除術やneobladderを用いた自然排尿型尿路変向術が本邦でも盛んになるにつれ,膀胱尿道の吻合が単に手技上困難であるばかりでなく,術後排尿機能にも大きく影響することが知られている。手技上の困難さとは尿道が前立腺尖部から切断されるとき末梢尿道断端は泌尿生殖隔膜の中に引き下がり,そのため確実な吻合のための運針が困難となる場合があることであり,さらに狭くて深い骨盤腔,肥満などの解剖学的要因がこの手技の困難さをさらに高めることとなる。こうした困難さを克服するための一法として,本稿では吻合ガイド付き金属ブジー(図1,Greenwald社)を使用した膀胱尿道吻合法1)を紹介する。
本ブジーは先端に3つの突起を12,5,7時に有し(図2),これは手元のハンドルでブジー内へ引き戻すことが可能になっている(図1の状態)。それぞれの突起の間には吻合ガイドのための溝が設けられ,使用の際はまず3つの突起を引き戻した状態にしておき,尿道内に誘導,切断された膜様部尿道からブジーを出す。突起の位置が尿道断端の約1cm末梢側に来るようブジー先端を引き下げ,引き戻した状態の突起を手元のハンドルを操作することにより,先端から三叉状にこれを突出させる。このことにより,突起は引き下がってしまっていた尿道断端粘膜を視野内に押し出し,術者は粘膜を容易に確認しながら運針することが可能となる。
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