増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
8.腎性高血圧・腎血管疾患
腎動脈狭窄
仲谷 達也
1
,
岸本 武利
1
,
中村 健治
2
Tatsuya Nakatani
1
1大阪市立大学医学部泌尿器科
2大阪市立大学医学部放射線科
pp.297-301
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902614
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1 はじめに
二次性高血圧症の中で腎血管性高血圧は腎実質性高血圧とともに頻度が高く,腎血管性高血圧の原因疾患として腎動脈狭窄症は重要である。本症では狭窄部より遠位部の腎血流減少に起因したレニン分泌刺激に基づき血圧が上昇し,灌流圧低下により腎機能が障害される。腎動脈狭窄は,成因にて(1)線維筋性異形成,(2)粥状硬化症,(3)大動脈炎症候群,(4)解離性動脈瘤・その他,に分類され特に(1)〜(3)の頻度が高い。
線維筋性異形成は若年の女性の多く,腎動脈本幹遠位部に好発する(図1a)。遺伝的な素因や解剖学的な影響による血管の過伸展や血管壁の血流障害が誘因と考えられ,血管壁の全層に起こりうるが中膜の線維筋性増殖が最も多い。粥状硬化症は全身の動脈硬化の一部分症であり,脂質代謝異常と関連し,比較的高齢の男性に多く,両側性で腎動脈では起始部に好発する(図2a)。大動脈炎症候群は,原因は不明であるが欧米に比してわが国で多く,胸・腹部大動脈とその分枝の狭窄ないしは閉塞(図3a)による多彩な症状を呈する。病理学的には,中膜一外膜の増殖性の炎症に起因した血管壁の肥厚を認める。若年女性に多く,腎動脈では起始部に好発し(図3b),両側性に発生することも多い。
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