特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅳ.腹部
臓器からみた腹部エコー
腎動脈狭窄
河原田 修身
1
1岸和田徳洲会病院循環器科
pp.330-334
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103089
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
腎動脈狭窄症の大半を占める粥状硬化性腎動脈狭窄症(atherosclerotic renal artery stenosis:ARAS)は,治療抵抗性高血圧や腎機能障害をもたらし,腎萎縮や腎不全に至る(図1,2)1).また,心不全や不安定狭心症の原因になることも明らかになってきた(表1).このARASは冠動脈疾患の10%,末梢動脈硬化性疾患の20%程度に合併するとされている.
しかしながら,日常臨床では本態性高血圧,腎実質性高血圧,高血圧性腎硬化症,糖尿病性腎症などによる腎機能障害として理解され,診断や治療介入がなされることが少なかった.しかしながら,このARASに対し,ステント留置により,血圧コントロールや腎機能の安定化が得られ,心不全や狭心症状の改善が得られることが明らかになってきている.腎動脈狭窄症はもはや腎血管性高血圧をはるかに超えた重要な疾患概念といえる.腎動脈エコーは腎萎縮を示す高血圧,治療抵抗性高血圧,腎不全,狭心症や心不全,さらには各種の動脈硬化性疾患におけるARASのスクリーニングとして,またステント治療前後の評価や経過観察に欠かせない検査法である.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.