増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
4.先天異常
(3)膀胱
膀胱外反症
柿崎 秀宏
1
,
野々村 克也
1
,
小柳 知彦
1
Hidehiro Kakizaki
1
1北海道大学医学部泌尿器科
pp.255-257
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902602
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1 はじめに
膀胱外反症bladder exstrophyは先天性に下腹壁・膀胱前壁が欠損し,膀胱内面が翻転・露出したものである。総排泄腔と腹壁の発生異常が原因で尿管口が露出し,同時に恥骨結合の解離や尿道上裂を伴う典型例から,膀胱上部の粘膜だけが外反露出するもの,あるいは尿道上裂のみのものまで種々のバリアントが存在する。本症の発生異常がさらに高度になったものが総排泄腔外反症であり,正中での下部消化管の外反や膀胱の左右への分離を伴う。これらの疾患群(外反症—尿道上裂症候群exstrophy-epispadias syndrome)は,一連のスペクトラムとして捉えるべきである。膀胱外反症の発生は欧米では1〜5万回の出産に1回の割合と報告されているが,本邦における発生頻度は欧米よりさらに少ない。
診断は視診により明らかである(図1)。腎,尿管,性器,消化管,脊椎・脊髄など様々な奇形を合併することが多いので,全身の検索が必要である。
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