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胎生期に左右生殖節の癒合が不完全なために起こる膀胱の先天異常である。下腹部正中で腹壁と膀胱壁の一部が欠損しているため,膀胱後壁が飜転し膀胱粘膜面が体表に露出して常時尿失禁がある。膀胱壁が一部露出したのみの軽症から,尿管口が露出し,恥骨解離や尿道上裂を伴う重症のものまでさまざまな程度がある。近年では可及的に膀胱を再建し骨盤内へ戻す努力をするが,膀胱尿管逆流が必発するため,必要に応じそれに対処する手術も行われる。膀胱容量が不十分である場合や括約筋の機能不全がある場合には,やむなく尿路変向術を行う。また男児では尿道上裂以外の陰茎や尿道の奇形を合併する場合もあり,生殖器の再建も必要となることがある。多くは骨盤の恥骨結合が成されないのが特徴で,X線写真を見ると左右恥骨の離開が認められる。さらに膀胱外反に重複尿道が合併しており,背側の尿道は尿道上裂で,腹側の尿道には精丘もあり,正常膀胱頸部を有するような極めて稀な例も最近報告されている(Zeidan S and El-Ghoneimi A. Urol 74:1228-1229, 2009)。
症例も多くなく,泌尿器科専門医でも一生に1例遭遇するか否かである。本症の形成手術は難しく,できるだけ膀胱を形成し尿失禁のない状態に戻す努力をするが,一次的に成功しないこともある。1978年から2007年の間に一次的手術に失敗し,再縫合手術をした症例122例(男85例,女37例)について,二次的に縫合しその成功率は98%であったというJohns Hopkinsの素晴らしい報告もある(Novak TE, et al. J Pediatr Urol 6:381-384, 2010)。
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