増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅵ 術後管理と合併症対策
4.術後合併症とその対策
循環器系合併症
中西 一浩
1
,
高野 照夫
1
Kazuhiro Nakanishi
1
1日本医科大学附属病院集中治療室
pp.285-290
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902307
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はじめに
膀胱全摘除術・尿路変向術後は出血,腎不全,感染症や呼吸・循環・消化器系にかかわる様々な合併症を生じる。特に循環器系合併症は多くの場合に心拍出量の低下を伴うため,各臓器への灌流不全から機能障害を引き起こし,時として致死的となる。主なものには血圧の低下,高血圧,不整脈・血栓症などがあり,これらは本術式によってもたらされる術創からの大量出血,術中の大量輸液,術後低体温,尿路変向,長期臥床などによる影響を少なからず受ける。また,最近は患者の高齢化にともない術前より循環器系疾患を合併している場合が多くなり,周術期全般にわたる循環管理の重要性がますます増してきている。
本稿では,膀胱全摘除術・尿路変向術後の主な循環器系合併症についてその原因と治療を主体として述べる。
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