Topics Respiration & Circulation
睡眠時無呼吸症候群と循環系合併症
西村 正治
1
1北海道大学医学部第一内科
pp.941-942
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901767
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■最近の動向 睡眠時無呼吸症候群とは夜間睡眠時に無呼吸(10秒以上の呼吸停止)と呼吸再開を反復する疾患であり,欧米においては30歳から60歳までの一般住民中に男性では4%,女性でも2%に臨床的意義を有する患者がいると推定されている.本邦においても男性中高年者では1〜2%に本症候群が存在するとの疫学調査もある.無呼吸には上気道閉塞によって起こる閉塞型と換気運動が全く停止する中枢型があるが,多くは前者であり,治療にはnasal CPAP(鼻マスクを介する持続陽圧呼吸)が著効する.本邦では1998年4月からこの治療機器が保険適応となったこともあり,今後ますます本症候群に対する認識は高まるものと予想される.
さて,本症候群では睡眠の断片化が起こるために昼間傾眠が最も頻度の高い訴えであるが,生命予後決定因子は高血圧,虚血性心疾患などの循環系合併症である.とくに本症候群の半数以上には高血圧が認められること,本態性高血圧と診断されている患者のなかには本症候群が多いとの疫学調査から睡眠時無呼吸と高血圧の因果関係が長く論争となってきた.両者に共通する背景として肥満があるために無呼吸自体が本当に高血圧の原因となっているか否か,そして,そうであればその機序は何かが未解決の問題点である.ここでは,最近の文献から疫学データと動物実験モデルによって睡眠時無呼吸が確かに高血圧の原因であるとする2編の論文を紹介する.
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