米国泌尿器科事情・3
留学者の生活
篠原 克人
1
1カリフォルニア大学医学部泌尿器科
pp.974-975
発行日 1997年11月20日
Published Date 1997/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902193
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今回は留学(研究)者の生活レベルのことを書こうと思います。最初にベイラーからもらった私のフェローの給料は年間2万ドルでした。J−1ビザでは研究者で来ている場合,2年間は国税が免除されます。テキサスは州の所得税もありませんでしたから,給料は丸々全額手元に入ります。それでもアパート代,光熱費,健康保険料などを差し引くと,自由に使える1日の額がたった26ドルであることがわかり,妻と手に手を取り合うことになりました。赴任当初は1ドル250円の時代だったのですが,1年以内に1ドル130円ぐらいに下がり,よけい貧乏になった気がしました。しかし,ほかの日本人の研究者たちの話を聞くと私などはまだ良いほうで,年俸1万ドルとか,まったく無給で来ているという人もいました。もっとも留学の場合,日本の大学でのポジションによってはしばらくの間,大学から給料が出るので,それで生活している人もいました。とはいえ大学の基本給の何割というほどの額ですから,やはり贅沢はできません。
一般には知られていないし,使っている人もあまりいないのですが,J−2ビザを保持している者,すなわちJ−1ビザ保持者の配偶者は,条件によっては労働許可をもらうことができます。これは研究者や教職者がもとの国での生活レベルをアメリカにいる間も維持できるようにと定められたもので,ある範囲での収入がアメリカ人の雇用を脅かさないかぎり,得られるようになっています。
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